梁山から来ました

中華圏の小説、ポーランドボール、SCP財団、作曲、描画などが好き。皆様のお役に立てる/楽しんでいただけるコンテンツ作りを目指して、試行錯誤の日々です。

水滸伝関連書籍bot ひとこと感想 016


高島俊男先生は『水滸伝人物事典』のなかで、「朱仝と比べると確かに霞んで見えるけど、雷横だって雷横なりに頑張ってるよ!」…という感じで、雷横を評価しています。

そうなんですよね。
雷横は常日頃から義を重んじ、江湖の好漢たちのためになることをしたいと思っているのに、その心意気は空回りするばかり。
せっかく晁蓋宋江を逃がそうとしたのに、朱仝の動きの方がスマートで、先を越されてしまいます。
晁蓋宋江も、「自分を逃がしてくれたのは朱仝だ」とばかり思っています。雷横がその裏でじたばたしていたことは、下手すると死ぬまで知らなかった可能性もあります。


なぜこんな違いが出るのかと言えば、これはもう、色々な要因が積み重なってそうなったとしか……。
風采しかり(朱仝は高名な英雄を彷彿とさせる外見です)。
日頃の行いしかり(どう見ても雷横の方が短気で喧嘩っ早いです)。
水滸伝 108星のプロフィール』でも述べられている、微妙な立場の違いしかり、です。


雷横はひょっとしたら、朱仝にやきもちを焼いた時期もあったかもしれません。
しかし、殺人を犯した自分を救ってくれた朱仝に恩義を感じてか、梁山入り後は最期まで、よい相棒であり続けたと思います。


水滸後伝』には、生き残った朱仝と死んでしまった雷横の友情が偲ばれるエピソードがあり、陳忱先生の水滸伝への思い入れのほどが伺えます。

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