梁山から来ました

中華圏の小説、ポーランドボール、SCP財団、作曲、描画などが好き。皆様のお役に立てる/楽しんでいただけるコンテンツ作りを目指して、試行錯誤の日々です。

「108星いいところチャレンジ」にちょっと補足 2/6

「108星いいところチャレンジ」も、難なく3分の1を過ぎ、地煞星ゾーンに突入しました。

……えっ、ここから段々難易度が上がってくるって?

そう……かもしれませんね……。

 

ともあれ、今回も張り切って補足していきます。天罡星の後半、第19位から第36位までです。

 

画像:『国芳ヒーローズ 水滸伝豪傑勢揃』展覧会図録より

大体、北京で梁山泊を迎え撃とうとして罠にハマった場面は、楊志さんとの再会を演出すれば見せ場の一つにできるはずなのに、他の軍人連中を説得するときの文言を使い回して終わらせてしまうとは、実に勿体ないことです。これだから北京攻略戦を担当した作者はガミガミブツブツペーラペーラ……。

 

画像:別冊太陽『宮田雅之の切り絵 史記水滸伝・唐代伝奇・三国志』より

李逵に対して、普段はからかったり叱りつけたりするばかりなのに、羅真人にちょっかい出して懲らしめられたときは、彼の長所をきちんと説明して許しを乞うています。このあたりの絶妙なTPOの使い分けが、「デキる人」の証なんでしょうね。ただ足がべらぼうに速いだけでは、梁山のパシリは務まらないのです。

 

画像:上海古籍出版社 『戴敦邦 新绘 水浒传』より

画像は雷横に喧嘩を吹っかけて、呉先生に止められた場面ですね。ここは劉唐と雷横のキャラや戦闘能力を読者に伝える役割を果たす、名シーンでした。この後、宋江に黄金を届けるあたりまでは出番も多かったんですけどね……。徐々に埋没してしまいました。残念です。

 

画像:横山光輝版『水滸伝』より

殺人が三度の飯より大好きな原作李逵、ギャグキャラの属性を一身に集めたような横光版鉄牛、凶暴キャラになった背景には哀しい過去があるGR版鉄牛、図体はデカく頭は足りず、いつも一生懸命な漫読李逵、皆様はどれがお好みでしょうか。それぞれによさがありますね。

 

画像:『国芳ヒーローズ 水滸伝豪傑勢揃』展覧会図録より

こうして浮世絵に描かれると、サマになるんですけど……まあ何と言うか、幾つになっても脳筋ですよね。おそらく、朱武と楊春は「自分たちがついてないとダメな子」と思ってると思います。陳達は「殴り合いを経てわかりあえた強敵(とも)」と思ってると思います。

 

画像:『女子読み「水滸伝」』より

「止めることは誰にもできない」と言われる怖いお兄さんですが、戦場でも他の武将連中に引けを取らないくらい暴れ回ってるんで、実際強かったんでしょうね。そして李俊とともに現地民のフリをして方臘の軍中にもぐり込むだけの頭もあります。それに比べ……いや、何でもないです。

 

画像:『国芳ヒーローズ 水滸伝豪傑勢揃』展覧会図録より

作中ではあまり報われない(多分、晁蓋宋江も、逃げるとき雷横にかばってもらったとは最後まで知らなかったんじゃないかと思う)ですが、人物紹介本では手厚くフォローされる傾向にあります。『水滸伝人物事典』では、いつも辛口の高島先生が、珍しくかなり持ち上げています。

 

画像:横山光輝版『水滸伝』より

李俊は、『水滸伝の世界』で一章を費やされるだけあって、たくさんの考察ポイントを持っています。ただ、彼の標榜する「自由」は、明清の中国の民衆にはピンとこなかったらしく、李逵魯智深らに比べウケなかった、とのこと。翻って現代の日本では、人気はかなり高い方だと思います。李俊を悪く言う人は見たことがないです。

 

画像:百家出版社『水浒一百零八将』より

後になって思い出したんですが、小二は死に方もかなり印象深いですよね。敵に捕まって、捕虜になるよりはと自決しています。阮兄弟は、三人の中で若干の個性の違いはあるものの、何よりもまず「好漢の気概を持った漁師」で、それが三人の原点なんだと思います。

 

画像:横山光輝版『水滸伝』より

この横光版の張横は、キャラデザこそ海賊っぽいですが、童兄弟の代わりに李俊について出てきたおとなしい奴で、川の真ん中で宋江を殺そうとかもしていません。こういうきれいな張横もいいんですが、存在感はあまりないですよね。好漢の個性って、どギツさで決まるようなところありますからね。

 

画像:『ジャイアントロボ 地球が静止する日 完全設定資料集』より

一番奥にいるのが阮小五です。GRは、水滸ファンにとっては嬉しい想定外でしたよね。横光デザインの阮兄弟がバリバリ動いてるところを見られただけで満足です。呼延灼将軍の名前の切るところが違うとか、一清より樊瑞のが偉そうとか、そういう細かいことは全部無視して楽しめます。

 

画像:『国芳ヒーローズ 水滸伝豪傑勢揃』展覧会図録より

青森のねぶた祭りで賞をとった作品のタイトルをボーッと眺めていたところ、「張順 水門を破る」という作品が平成8年の大賞を獲得しており、そこがターニングポイントとなってねぶたの歴史が変わっていることがわかりました。それまではほぼ全ての賞が日本を題材にしたねぶたに授与されていますが、そこから突然、『水滸伝』、ひいては中国の物語を題材にしたねぶたが登場します。張順の戦死はそれほど絵になる、物語性の強いエピソードなんですね。厳密に言えば、水門破ってませんけどね。

 

画像:『漫画で読破 水滸伝』より

本当は北京電視台版の役者さんの写真を拾いたかったんですが、うまくでてきませんでした。

小七さんは阮三兄弟の生き残りです。もっと言えば七星の、そして晁蓋を頭領としてスタートした梁山泊初期メンバーの唯一の生き残りです。そのことを本人がどう捉えていたかは、考察のし甲斐があります。

 

画像:ドラマ『水滸英雄傳 鼓上蚤時遷』DVDジャケットより

だから、潘巧雲はそこまで悪女というわけではないんですよね。個人的には、家族を養うためにお仕事を頑張ってるのに、「家を空けがちで寂しい」とか言ってくるのは何なんだー!!……と、楊雄の味方をしたくなりますが。

 

画像:別冊太陽『宮田雅之の切り絵 史記水滸伝・唐代伝奇・三国志』より

祝家荘の鍾離老人とのやりとりは素晴らしかったです。あれも、しばらく一緒に旅をした時遷のことを、何とか救い出したいと、懸命になった結果だと思うんですよね。だから、自分は「石秀は誰かに特別執着したりとかはしていない」という解釈です。王道ではないかもしれませんが。

 

画像:横山光輝版『水滸伝』より

解兄弟は「108星いいところチャレンジ」におけるハードルの1つですが、ここは「兄弟のいいところ」を2つ言うことでクリアしました。

全然関係ないんですが、前にネットで「解兄弟のカラオケの十八番は『あずさ2号』」という書き込みを見て、妙に感心してしまった思い出があります。

 

画像:『女子読み「水滸伝」』より

横光のコミカルな造形のキャラが虎かぶってると「何これかわいい」ってなりますが、リアルに寄せた絵柄のおじさんが虎かぶってるのは、なんかシュールで笑えますね。現代の都会でやってたらアウトですが、宋代の山奥と思えば全然アリです!!

 

画像:『国芳ヒーローズ 水滸伝豪傑勢揃』展覧会図録より

前は燕青と林冲が108星中の苦手キャラのツートップだったんですが、そういうわけでそこから燕青が抜けたので、林冲一人が苦手という状況になって久しいです。これはもう、覆らないでしょうね。残念ですが。

 

 

今回は以上です。

次は108人の折返し時点の第54位までつぶやき終わった後、忘れた頃にひっそりと、投下したいと思います。