梁山から来ました

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水滸伝関連書籍bot 連想語り 081


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こいついっつも「鎮三山()」って言われてんな

 

……およそ人物紹介系の水滸関連書籍で、黄信のあだ名をいじっていない本というのは、おそらく存在しないと思います。

もし、このあだ名いじりが根も葉もないガセなら、黄信はこれらの本を名誉毀損で訴えてもいいところですが、

悲しいことに「二龍山、清風山、桃花山の三つを鎮める」という意味で自ら「鎮三山」と名乗ってしまったことも、清風山ひとつに屈したことも、紛れもない事実ですからねえ……。

(チラッと、「清風山は黄信一人に三人がかりで、卑怯だぞ!」とも考えたんですが、その程度で押し負けるようでは、二龍山を攻めたとき、あの頭領たち相手にどうやって勝つつもりだ、って話ですよね)

むしろ、もし鎮三山をいじってない紹介本があれば、その本は黄信をちゃんと紹介できていないということになります。

 

あだ名いじりを宿命づけられた好漢、黄信……。

水滸伝』には可哀想なキャラがたくさん出てきますが、その「可哀想さ」にも、様々なあり方があるんですね……。

 

 

ところで、『水滸伝』読者の間では有名な『ジャイアントロボOVA』というアニメがあり、横光先生デザインの黄信が割と重要な役で出てきます。

自分はGロボを観たのは『水滸伝』原作を読んだ後だったので、主人公の大作に厳しい態度で接する黄信を見ていて

「鎮三山なのに、なんであんなに偉そうなんだ……」

と、ぼんやり思った記憶があります。

まあでも、横光水滸伝における黄信は、半分秦明みたいなものですからね。厳しいのも無理はない。と、後で思い直しました。

 

なお、横光版にも一応「秦明」という名前のキャラは出ていますが、個人のエピソードを持たないモブキャラです。原作における秦明の仲間入りエピソードは、改変を受けた上で、全て黄信のものとなっています。

個人的にはあの改変は、横光水滸伝の中でも屈指の功績だと思っています。あのいきさつであれば、黄信(秦明)が仲間入りを承諾するのにも、納得がいきますからね。

まあ、宋江が「黄信が今清風鎮に戻ったらまずいのではないか」と言い出したのがあのタイミングなのは、ホワイトに見えて、やっぱりちょっと腹黒いからなのかもしれませんが。(本当はもっと前に気づいていたけど、黄信に現実の厳しさをわからせるため、敢えて言わずに帰したのかも)

そうした含みを持たせているところも、うまいと思います。

 

 

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