梁山から来ました

中華圏の小説、ポーランドボール、SCP財団、作曲、描画などが好き。皆様のお役に立てる/楽しんでいただけるコンテンツ作りを目指して、試行錯誤の日々です。

水滸伝関連書籍bot ひとこと感想 072


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早いものでこの「ひとこと感想」も、我々の業界における2番目のキリ番、第72回を迎えました。

botのプロモーションのためにしているこの企画、目的を果たしているとは言えず、どうしたものかと考えあぐねてはいますが、

水滸クラスタの皆様に些かなりともお楽しみいただけたのであれば、まあ、それはそれでいいのかな……と。

とりあえず108回目までは続けて、その後のことはまた考えていこうかと思います。

 

さて、今日は「記念日リマインダー」として呟いた、1つ目のツイートについて。

旧暦1月15日、元宵節には、各地で灯籠祭りが行われ、市街地は夜中まで大変な賑わいを見せます。

宋代の都市というのは、通常、石垣のようなもので囲われていて、夜になると外部に通じる門が閉まり、内外の行き来ができないようになるんですね。

しかし元宵節の前後何日かは、その門が夜中でも開放しっぱなしになります。よからぬ輩が入り込んで悪事を働くにはうってつけ、というわけで、『水滸伝』作中でも4つもの事件が、この日に起きたことになっています。

事件が集中する日というのは他にもあるんですが、4つ、というのは1年365日(いや、旧暦だから違うのか…とにかく300日超)のうちで1月15日だけです。言わずもがな、この4つは、それぞれ異なる年に起きた出来事です。

 

今回注目したいのは、2つ目の「盧俊義の救出」です。実は北京の役人、梁中書は、事前に「元宵節には梁山泊が何か仕掛けてくるのではないか」と予測していました。彼は灯籠祭りの中止を提案しましたが、李成ら軍人連中は「灯籠祭りを中止したとなれば、梁山泊の奴らにナメられる。祭りは堂々と行うのがよろしいでしょう。ただし警備は一段と厳しくします」と反論し、灯籠祭りは決行されることになりました。

 

果たして梁山泊は、「何か」を仕掛けてはきましたが……。

変装した頭領たちは、役人連中の想像も及ばないほど深く城市の内部に入り込み、仕掛けてきた「何か」も想定を超えて大規模でした。北京は大混乱に陥り、梁山泊は今度こそ盧俊義を救出し、彼の仇を討つことができました。

 

 

この「重要な行事を強行するか中止にするか」の駆け引きは、時代が下って現代になっても、何度となく繰り返されていることです。

特に、テロの予告なんかが届いている場合は、当局は真剣に議論しますね。「テロに屈するわけにはいかない」として行事を決行する場合でも、どのくらい警備を強化すべきかは難しい問題です。

テロ集団は予告を出すだけ出して、何も仕掛けてこないかもしれません。その場合、警備を重くしすぎると、膨大な人件費がかかるだけで、得るものは何もないわけで……。どっちに転んでも、テロ集団は当局にダメージを負わせられる、というわけです。

 

この「政府機関と犯罪者集団のいたちごっこ」は、いくら科学が進歩しても変わらない、「高度に組織化された社会」にとって普遍的な現象……なのかもしれません。

 

 

あ、ただ、相手が犯罪者集団ではなく「流行り病」の場合は、どうなんでしょうね?上記とは多少様相が異なるけれども、やはり駆け引き自体は行われているんでしょうね。

人間ではなく、ウイルスが相手の駆け引き。それはそれで、一筋縄にはいかない、難しいことだろうと思います。

 

 

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