梁山から来ました

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水滸伝関連書籍bot ひとこと感想 060


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先日に引き続き、『水滸伝』作中に出てくる金銭の規模感の話です。

楊志さんが状元橋のたもとで売った伝家の宝刀、その価値は、ざっと3000万円くらい。

これには、ツイートを入力している最中、思わず「おぉっとぉ!」とのけ反りました。

 

何千万という規模の品物を往来で売るって……どうなんでしょうね?少なくとも現代の日本ではちょっと、考えにくい状況です。

もしその辺の道端で「家宝の刀剣、3000万でいかがっすかー」なんて言ってる人がいたら、毛なし虎の牛二でなくとも、

「はっ!たかが刀に3000万だとぅ?刃物なんてのは斬れりゃいいんだ、斬れりゃ。うちの関孫六は3000円だったが、何を切るにも不自由しないぜ?」

などと、イチャモンをつけたくなります。

 

家柄のよい知り合いがいれば、「大通りの李さんの店に持っていけば、それなりの値段で買い取ってくれるよ」みたいにアドバイスをしてくれたと思うのですが、おそらく陝西省出身の楊志さんは、開封には、そこまで親しい友人もいなかったのでしょう。(いや、そもそも、後ろ盾になってくれる人が開封にいたら、賄賂の使い方を間違って求職活動に失敗することも、なかったと思われます。)

 

あるいは…それほど深い知り合いではなくとも、「楊家将の子孫が落ちぶれている」と知ったら憐れんで手を貸してくれる士大夫の一人や二人、いそうなものですが、

楊志さんの方が恥ずかしがって、彼らに助けを求めなかったのかもしれません。

 

そんなこんなで、「何千万の代物を、下流階層の人々もバンバン行き来している往来で売ることになってしまった」と考えると……

この場面の物悲しさが、一層際立ってくる気がしますよね。

 

 

 

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