梁山から来ました

中華圏の小説、ポーランドボール、SCP財団、作曲、描画などが好き。皆様のお役に立てる/楽しんでいただけるコンテンツ作りを目指して、試行錯誤の日々です。

十数回目の『水滸伝』通し読み記録 003

武松さんの鴛鴦楼での大量殺戮を見るにつけ、思い出すのは、現代の日本でも時折起こる、犠牲者の数が多い事件です。

鴛鴦楼のくだりは相当にハードで、武松さんは最終的に、張青の手下のチンピラどもをあしらう力も出ないほど、ぐったり疲れ切ってしまいます。喋っている講釈師も聞いている聴衆も、話を読んでいるだけの我々も、魂を削られるような不思議な疲労感を覚える場面でありますが(えっ、そうでもないですかね……?)、

 

実際に殺された人数は、と見ると、

飛雲浦で護送役人と蒋門神の弟子、合計4人、

鴛鴦楼では張都監、張団練、蒋門神、玉蘭らを含む総計15人。

合わせて19人です。

 

意外と少ないような気がしてしまうのは、昨今の恐ろしい事件を見聞きするうち、感覚が狂ってきてしまったのでしょうか。

 

武松さんの場合は、彼ら19人を1人ずつ葬っています。相手の顔を見て感情を動かされたり、武器が刃こぼれして使えなくなったので別のを調達したり。超人的な武功を持つ彼とても、簡単には行かない仕事です。

しかし、銃火器や生物化学兵器が戦争やテロリズムに使われれば、たった一度の動作で何十、何百、何千という人を、一気に殺してしまえるわけで……。

激しく今更ではありますが、その「効率性」には、圧倒される思いです。

 

もし武松さんが21世紀の事件における犠牲者の数を知ったら、一体、どんな感想を抱くでしょうね?