梁山から来ました

中華圏の小説、ポーランドボール、SCP財団、作曲、描画などが好き。皆様のお役に立てる/楽しんでいただけるコンテンツ作りを目指して、試行錯誤の日々です。

水滸伝関連書籍bot ひとこと感想 045


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「項充と李袞を李逵につけたのはアタリだった」というのは、後世の学者さん、ライターさんの共通の見解のようです。

 

第71回の勢揃い以降、歩兵軍将校の活躍の場はごく限定されたものになりますが、李逵が率いるこの軍団だけは例外的に、突出した戦績を上げています。

項充と李袞の戦法は、攻撃あるのみで防御がお留守になりがちな李逵と鮑旭を護るのに、打ってつけだったんですね。

 

この4人組、第2回曾頭市討伐から行動を共にしていますが(当初は樊瑞も一緒)、この采配を思いついた人はいい仕事しましたね。

裴宣…いや、メタ的に言えば「この部分を書いた作者さん」ということになるのでしょうが。

 

欲を言えば、小説水滸伝の後半を書いた作者さんたちには、頭領同士を組ませることで、互いの特技を役立て、こうした特殊な戦法をたくさん編み出してほしかったですね。

どうせ歩兵軍将校なんて、そのまま戦っても一兵卒と大差ない活躍しかできないのです。それならいっそ、普通の戦闘はモブに任せて、頭領たちには特殊戦法に徹してもらうくらいの思い切りがあっても、よかったのではないかと。

 

たとえばそうですね、李逵の他に戦場で無双できそうな怪力ヒーローと言えば、やはり魯智深と武松が思い浮かびます。

2人に対し、その活躍をサポートできるような頭領をつけてやれば、2人のパフォーマンスも上がり、その頭領が目立てる場所もつくれて、一石二鳥だったのではないでしょうか。

 

……などと言うのは簡単ですが、では具体的に誰を、と考えると、これが結構、難しいのです。

放っておくとどんどん危険に突っ込んで行ってしまう魯智深に、慎重派の李忠を……いや、それじゃ逆に足手まといで、魯智深のよさを殺してしまいますね。同じ理由で、武松に施恩を、というのもやめた方がよさそうです。

龔旺と丁得孫なら、アリかもしれません。戦法としては項充と李袞に類似しているので、「魯智深や武松に迫りくる危険を察知し、排除する」というかたちで、貢献が可能です。

でも、それだと二番煎じ感が否めませんね。李逵グループのインパクトを霞ませてしまうので、小説的にはよろしくないかと。

 

もっと意外性があって効果的な組み合わせ、ないですかね?

本気出して考えれば、何らかのブレイクスルーが見つかるかも…。

わたくし、裴宣と同年生まれ、同郷出身の幼なじみでありましたならば、昼と言わず夜と言わず、かれにつき纏って

「もっと小説的な面白さを考慮した采配を、熱く求めて行けよ!お前ならできる!気合いだーッ!!」

と、激励の言葉を浴びせかけたところでございます。

 

…いや、問題は裴宣というより、後半を書いた作者さんですよね、メタ的に言えば。

もしもタイムマシンがあったら、明代の「施耐庵」または「羅貫中」のところへ行って、勢揃い以降の構想担当者さんに、21世紀仕込みの「面白い物語をつくる技術」を、いくつかシェアしてきたいところであります。

 

……なんつってね。余計なお世話ですね。はい。