梁山から来ました

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水滸伝関連書籍bot ひとこと感想 042


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施恩というのは、大体の人物紹介本で酷い書かれようをしている好漢……こ、好漢?えーと、まあ好漢……です。

 

上記の『女子読み水滸伝』の記述はまだ愛がある方で、

『百八星のプロフィール』でも「どこか好漢らしくない」と書かれ、

水滸伝人物事典』に至っては「名前とは逆に恩を押し売っている」と、けちょんけちょんです。 

もうやめてあげて!施恩のライフはゼロよ……!

 

よく言われることですが、梁山泊には百八人もの頭領がいますから、颯爽と現れて大活劇を繰り広げるスーパーヒーローばかり、というのはちょっと、無理があります。

席次で言えば40番台くらいから「あまり目立たない」「相方との区別がない」と書かれる好漢が多くなり、

80番台くらいから「ええと…これのどこが鬼神の生まれ変わり?ただのケチな小市民じゃん」みたいなキャラが増えてきます。施恩は後者の代表格ですね。

 

でも、だからと言って彼らに魅力がないわけではありません。

読者は、スーパーヒーローの武松さんとは共有できない身の丈サイズの悩みを、施恩となら分かち合うことができるかもしれないのです。

 

施恩だけではありません。

宋清に穆春、宋万、杜遷、李忠、周通、蔡福蔡慶兄弟、石勇に王定六、ドベトリオの白勝時遷段景住……。

彼らがちょっとした偶然(天界の理論からすると運命?)から、梁山泊という圧倒的な存在に巻き込まれ、ときに戸惑い、ときに傷つきながら、この集団とともに生きて死ぬ覚悟を決めるまでの物語は、スーパーヒーローたちの大活躍と同じくらい、大きな価値を秘めていると思っています。 

 

まあ、それを「面白い」と思うかどうかは、人それぞれなんですけどね。